Cynefin(カネヴィン)フレームワークは、複雑な状況における意思決定を支援するために設計された思考モデルです。もともとはデイヴ・スノーデン(Dave Snowden)によって開発され、ビジネス、政府、軍事、医療など、さまざまな分野で活用されています。
基本構造
Cynefinフレームワークは、状況を5つの「領域(ドメイン)」に分類します。それぞれの領域には、異なるタイプの問題と、それに対処するための最適なアプローチが存在します。
1. 明白な領域(Clear / Obvious)
- 特徴:原因と結果が明確に理解できる。ベストプラクティスが存在。
- 対応方法:感知 → 分類 → 対応
- 例:マニュアル通りに機械を操作する、ルーチンの仕事
2. 複雑な領域(Complicated)
- 特徴:原因と結果は存在するが、分析や専門知識が必要。
- 対応方法:感知 → 分析 → 対応
- 例:ITシステムのトラブルシューティング、医学的診断
3. 複雑系の領域(Complex)
- 特徴:原因と結果の関係が事後的にしかわからない。パターンが進化する。
- 対応方法:実験 → 感知 → 対応
- 例:新しい製品の市場導入、組織文化の変革
4. 混沌の領域(Chaotic)
- 特徴:原因と結果の関係が存在せず、即時対応が必要。
- 対応方法:対応 → 感知 → 対応
- 例:自然災害、突然の経営危機
5. 無秩序の領域(Disorder)
- 特徴:どの領域にも分類されていない、または判断できない状況。
- 対応方法:まずは状況を把握し、適切な領域に分類することが必要。